【健康経営企業訪問②】山形県上山(かみのやま)訪問レポートextracurricular activities
こんにちは。今回、山形県上山(かみのやま)市を担当させていただきました、 ビューティ&ウェルネス専門職大学/Professional University of Beauty & Wellness 2年の髙井遥香です。
健康経営企業訪問3日目(最終日)の8月21日、 東京駅からJRやまがた新幹線つばさで2時間半のところにある、山形県上山市を訪問いたしました。
山形県の南東部に位置し、蔵王連峰の裾野に広がる上山市。
温泉町・宿場町・城下町の3つの顔を併せ持ち、駅名にもなっている『かみのやま温泉』は、同じ山形県の湯野浜温泉・福島県の東山温泉とともに、観光地として賑わいを見せていた『奥羽三楽郷』の1つと言われているそうです。
人口は1997年から約1万人減少しており、現在は27,836人(2024年5月31日時点)。
【上山市ホームページ https://www.city.kaminoyama.yamagata.jp/】
そんな上山市役所は、2008年から“心と体がうるおうまち”と称し、健康・交流・環境の3つを柱に『上山型温泉クアオルト事業(https://www.city.kaminoyama.yamagata.jp/site/kurort/)』を立ち上げました。
当時、上山市は山形県内13市中『市民一人当たりの年間医療費』ワースト1位、『市民の高齢化率』ワースト2位、そして年間宿泊者数が激減しているという問題を抱えており、健康問題解決と地域資源を組み合わせた案が、この“クアオルト”だったのです。
そもそも“クアオルト”という言葉に馴染みがない方も多いと思います。私もこのプロジェクトに参加して初めて知ったのですが、“クアオルト”とはドイツ語で『健康保養地』『療養地』を指す言葉です。
ドイツには、医療保険が適用され、自然の力を使って病気を治療する“クアオルト”と呼ばれる、国が認定した特別な地域が存在し、近年では健康づくりのために活用する人も多いのだとか。
上山市はもともと、1994年からの友好都市であるドイツのドナウエッシンゲン市との国際交流があり、さらには先立ってクアオルトを目指していた大分県由布院温泉とも2000年から交流があったことから、温泉や豊かな自然を活用した“日本型クアオルト”に至ったようです。
上山市の健康経営に関連する主な取り組みとしては、企業へのフィールドとしての提供です。舞台となるのは、新幹線を降りた『かみのやま温泉駅』から車で30分ほどの、標高1000mに位置する蔵王高原坊平(ざおうこうげんぼうだいら)です。
社員研修等でこのクアオルトを活用し、豊かな自然に触れ、栄養満点の食事を摂り、『クアオルト健康ウォーキング』をはじめとした様々なリカバリープログラムに参加することで、社員の健康増進やヘルスリテラシー向上、また社員同士のコミュニケーションアップも図ることができます。
本プロジェクト2日目に訪問させていただいた大塚製薬様も、実は協定締結企業のうちの1社です。そしてこれらの取り組みを行なっている『上山市役所』は、市役所職員に向けた健康経営にも力を入れており、2022年には東北の自治体として初めて、経済産業省が毎年選定している『健康経営優良法人(中規模法人部門)』に認定されています。
(今年度、2024年も3年連続で認定されました。)
今回は蔵王坊平アスリートヴィレッジの敷地内にあるリカバリー複合施設『高源ゆ』にて、マネージャーであり企業等の健康経営支援の旗振り役である桐生様、そして上山市役所市政戦略課クアオルト推進係の係長である長澤様のお2人にお時間をいただき、お話を伺いました。
県内外へクアオルトを周知させるための施策をいくつも工夫されていたり、全25メニューもある『リカバリープログラム』1つ1つをSDGsと関連づけていたりと、17年間の試行錯誤とその熱量・綿密さが節々に見られました。
お話の前には、上山産のお米と地域の旬の野菜・山菜を使用した『かみのやまクアオルト弁当』もいただきました。
『オクラと菊花の寒天寄せ』や『トマトのワイン煮』など、あまり見たことのない創作料理が並ぶ9マス弁当だったのですが、そのどれもが美味しく、食レポが飛び交う楽しい食事となりました。
また『五感を解放する森林浴』プログラムにも全員で参加させていただきました。
山の中を約2時間、ガイドの方の説明を聞きながらウォーキングするというものです。
杉などの針葉樹は、他の植物の成長を阻害するために“フィトンチッド”という強い成分を出すそうなのですが、この成分は人間にとっては有益で、免疫向上・ストレス軽減・自律神経に効果的だと教えていただきました。
その他にも、足で土の柔らかい感触を感じたり、森林の中で深呼吸をしてみたり、熊の気配や水の音を感じたり。
草むらをかき分けた先で山に向かって「ヤッホー!」と叫ぶなんてものは、普段の生活からは考えられない体験でした。
普段都会で生活している我々にとって、これらがいかに貴重で五感を喜ばせられる出来事なのか、身をもって体感することができました。
忙しい日常ではありますが、これからは定期的に意識して自然のある場所や神社に行き、日頃から五感のパワーチャージをしたいと思います。
歩数でいうと5000歩程度ではありましたが、ふかふかで凸凹な山道をバランスをとりながら歩くと、特にふくらはぎの筋肉に刺激があり、心地良い疲労感でその日の睡眠は質がグッと高まりました。
最後になりましたが、お忙しい中、体と五感で学習する機会を作ってくださったこと、厚く御礼申し上げます。
※「#健康経営® 」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です